天国で君が笑っている。



熱い視線。
応えられない気持ちに泣きそうになる。


好きになってあげたいと思ってしまうのはただの同情?
残りの命が少ないもの同士、わかりあって、そばにいて支え合えたらきっとどちらにも都合が良くなるのに。


でも……それは、無理なんだ。
好きって気持ちはコントロールできない。


「私も君と同じ。でも違う」
「え?」
「私も余命五年。二十歳まで生きてる確率めっちゃ低い。実はね脳腫瘍があるの。……でも私は君みたいに好きな人に自分の気持ちはぶつけられない」


彼は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。
泣かないように、言葉をひとつひとつ置くように話す。
呼吸も熱くて、重い。


「五年後この世界にいない私からの"すき"は、あいつにとっては最悪のプレゼントになっちゃうよ」


グラウンドに目を落とす。
夢に向かって一生懸命に走る彼が好き。
私が追えなかった夢を、彼の背中越しに見ている。


今、とてつもない幸せをもらっている彼に、時限爆弾みたいな告白なんて、できっこない。


「いつか傷つけることがわかっているのに、好きだなんて言えない」
「それ言い訳じゃない?」
「え?」


鋭い指摘に言葉がつまる。
図星じゃないはずなのに、図星をつかれてしまったような反応をしてしまった自分に驚いた。

違う。言い訳なんかじゃない。


「いつか死ぬのは、僕ら以外の人間も同じだよ」
「それは……っ、そうだけど……っ」
「僕らだって五年後生きてるかわかんないけど、明日だって生きてるかわかんないよ?」


それは、そうだけど。