「はっ、……」
短い息を吐く。
熱くて、しんどい想いが意図せずこもったもの。
彼方に会いたいや。
隣の教室にいるはず。
だけど行くことは絶対にない。
うんと慰めてほしいけれど、それは我慢する。
悲劇のヒロインぶりたいわけじゃないのにな。
自分の心の弱さにほとほと嫌気がさす。
未来がないことの苦しさをわかってくれる人はきっと同じ境遇にいる人だけだろう。
だからといって花崎くんに私の余命の話をするつもりは毛頭ないのだけど。
***
放課後、教室でいつものようにグラウンドを眺めていると、花崎くんがさも当たり前かのように私の前の先に座った。
驚いた私の様子なんて気にもとめずに、「ねぇ聞いてよ」と笑顔で私に話しかけてくる。
私はそれを良く思っていなかったけれど、他愛もない話をし続ける彼の話に思わずクスッと笑ってしまう。
「あ、ようやく笑ってくれた」
「っ……」
その言葉に恥ずかしくなって、顔をそむける。
「どうして帰らないの?」
「君と居たいから」
気まずいと思って聞いたのに。聞かなければ良かった。
どうしてそんな言葉を平然と口にできるのだろう。
面食らってる私を見て微笑む彼はいま、なにを考えているのだろう。
「ねぇ、僕さ、生まれつき心臓が悪いんだ」
「うん」
「他の人に比べて小さいんだ。発作もあるし、二十歳までこの心臓はもたない。動かなくなってしまうんだ」
「うん」
「でもね、君を見ると、トクトク……って、動くんだ」
左手で左胸のあたりの制服を握る。
「君を好きになってから、人より弱いこの心臓が、こんなに動くんだよ」



