慰めようと意気込んでいた私が戸惑って固まってしまって、美乃梨ちゃんが「ふふ、大丈夫だよ?」と目を細めて笑った。
「だから……」
「美乃梨ちゃん」
「お願い、普通にしてて。気を遣われると、泣いちゃう……」
その瞬間、美乃梨ちゃんの瞳がたっぷりと水分に沈んだ気がして。
私は「わかった」と慌てて口を閉じた。
そうだよね。平気なわけないのに。
私はなんて無神経な女なんだろう。
好きな人に、恋人なんて。辛いに決まっている。
そこまで考えて、花崎くんのことを見た。
もしかして彼も、こんな風に傷ついている可能性があるのかな。
好きな人……私に、好きな人がいるって。
花崎くんからしたら、心底傷ついていたりするのだろうか。
「…………」
だからといって、私が彼の気持ちに応えることは出来ない。
だけど、胸が痛い。
残り少ない命。
恋も実らず、苦しい気持ちのまま。
生きたい気持ちも叶わず、悲しい気持ちのまま。
儚く散ってしまうのだとしたら。
どれだけの不幸を背負って、消えなくてはいけないのだろう。
私たちって。
気持ちのまま、「生きたい」と叫んだって無意味。
それでも、ただどうしようとなく、泣き叫びたくなる衝動はくる。
こんなふうに、小さなキッカケで。
だけどそんなこと出来なくって。
唇を痛くなるくらい噛むくらいしか、耐える方法は知らない。
そうやって終わっていく人生に、非情にも過ぎていく時間に絶望する。
こんな清々しく晴れた朝に。高校の教室で。輝く未来が末永く続いているクラスメイトに囲まれて、人知れず。



