気まずそうに俯く蒼に仁王立ちで「バカすぎて話にならない」とはっきりと言い放つ。
好きって言われただけで舞い上がって馬鹿みたい。
このことを知ったら美乃梨ちゃんはきっと泣いちゃう。
「やっぱり俺今からでも断るよ」
「は? 告白してきた女の子の気持ちは?」
「それは……」
「安易な答えをだした自分を恨みな。私は知らない」
イライラして、足音を無駄に大きく立てて部屋を出た。
蒼がそんな男だったなんて、双子の姉として恥ずかしい。
明日美乃梨ちゃんのこと励まさなきゃ。
好きな人に彼女ができたなんて知ったら、メンタル崩壊しちゃう。
……きっと私も。
彼方に彼女ができたなんて言われたら、心がぐちゃぐちゃになっちゃう。
洗面台で歯ブラシで歯磨きをしながら、明日の作戦をひたすらに考えた。
***
次の日。
登校してから、思ったより我が弟は女子から人気があったことを知る。
聞こえてくる会話のほとんどが蒼に彼女ができたってことだった。
告白して付き合うことのできた女の子は相当嬉しかったのか、いろんな人に「付き合うことになった!」と報告し、SNSにも投稿しているようだった。
教室に入って美乃梨ちゃんの後ろ姿を見つけて「おはよう」と声をかけた。
振り返った美乃梨ちゃんはいつもと変わらない天真爛漫な笑顔で私に「おはよう」と返した。
驚いた。落ち込んでいるかと思っていた。



