一瞬だけ、離れた手に少しばかり安心していたら君が私を抱き締めた。



背中が暖かい。


「聞いてーーそのまま聞いて。
亀井に、あの場でああしなきゃ明咲を襲うって言われたんだ。


したくなかったさ、嫌われてもなんでもいい……

明咲を助けたかったんだ、ごめん」



私はきっと、あの時から高丘のことが好きだった。



だから、こんなにも胸が苦しくなるんだ。