* * *
理真と初めて並んで歩く桜の並木道は、風が暖かかった。ふわふわと揺れる理真の髪に、自然と手が伸びた。
「凛玖くん…?」
「髪、伸びたよね。」
「あ、そうなの。切りに行く時間がなくて…。長いの、嫌?」
「全然。出会った頃を思い出しただけ。もっと短かったなぁって。」
「確かに!思えば本当、あの頃の私は全然見た目を気にしてる余裕もなくて…。」
少しだけ照れた頬。少しずつ見れるようになった、恋人としての顔に心臓がうるさくなる。
「眠い日は無理してブラックコーヒー飲んでたね。」
「…はは。バレてる。」
「知ってるよ。そのブラックコーヒーをいつもキャラメルマキアートに変えてあげたかった。」
「え?」
「疲れてるならもっと肩の力を抜けるように何かしたいなって、割とずっと思ってたからね。」
いつの間にか止まった足。ふと理真の頭に、綾乃の言葉が浮かんだ。
勇気を出して、『甘える』なら今だ。
「え…?」
理真の方から、そっとその右手に触れる。そしてきゅっと握った。
「理真…さん?」
「いつもいつも、私のことよく見て、いろんなことに気付いてくれてありがとう。」
なんとか目を見て言い切る。『ありがとう』なら伝えられる。
握った手が、一度離れて握り直される。凛玖の頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
「…なんでいきなり手、…かわいすぎるでしょ。」
目元を左手で隠しながらぼそっと呟く姿が可愛くて、理真は笑顔になった。
「なんで笑ってるの?」
「だって可愛くて。真っ赤だし。」
赤い頬をつついてみる。引っ込めようとした手は簡単に掴まれて、そのまま引き寄せられた。
(…!綾乃さんの言ってること、全部現実になってる!)
理真と初めて並んで歩く桜の並木道は、風が暖かかった。ふわふわと揺れる理真の髪に、自然と手が伸びた。
「凛玖くん…?」
「髪、伸びたよね。」
「あ、そうなの。切りに行く時間がなくて…。長いの、嫌?」
「全然。出会った頃を思い出しただけ。もっと短かったなぁって。」
「確かに!思えば本当、あの頃の私は全然見た目を気にしてる余裕もなくて…。」
少しだけ照れた頬。少しずつ見れるようになった、恋人としての顔に心臓がうるさくなる。
「眠い日は無理してブラックコーヒー飲んでたね。」
「…はは。バレてる。」
「知ってるよ。そのブラックコーヒーをいつもキャラメルマキアートに変えてあげたかった。」
「え?」
「疲れてるならもっと肩の力を抜けるように何かしたいなって、割とずっと思ってたからね。」
いつの間にか止まった足。ふと理真の頭に、綾乃の言葉が浮かんだ。
勇気を出して、『甘える』なら今だ。
「え…?」
理真の方から、そっとその右手に触れる。そしてきゅっと握った。
「理真…さん?」
「いつもいつも、私のことよく見て、いろんなことに気付いてくれてありがとう。」
なんとか目を見て言い切る。『ありがとう』なら伝えられる。
握った手が、一度離れて握り直される。凛玖の頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
「…なんでいきなり手、…かわいすぎるでしょ。」
目元を左手で隠しながらぼそっと呟く姿が可愛くて、理真は笑顔になった。
「なんで笑ってるの?」
「だって可愛くて。真っ赤だし。」
赤い頬をつついてみる。引っ込めようとした手は簡単に掴まれて、そのまま引き寄せられた。
(…!綾乃さんの言ってること、全部現実になってる!)



