桜並木を歩きながら、綾乃はゆっくりと理真の手を離した。
「ごめんね、岡田くんと一緒にいたかったよね。」
「あっ…いえ!あ、いえっていうのも変な話ですけど、綾乃さんに聞きたいこともあって…。」
「あ、やっぱり?何か言いたそうだなって思ってたの、間違ってなかったか~!」
「え?」
「いいよ?何でもきいて?」
理真は一度、胸の前で片手をきゅっと握った。そしてそっと、口を開いた。
「…綾乃さんと咲州さんの関係性はすごくいいなって、見ていて思いました。」
「え、えぇ?岡田くんと理真ちゃんだっていい関係性でしょ?岡田くん、理真ちゃんのこと、大事そうに見つめてたよ?」
「凛玖くんは…すごく、私を大事にしてくれます。…でも、私は返せてるかなって。なかなかデートにも行けないし、デートの日に熱を出したこともあります。…そんな状態で、愛想尽かされないかな…とか、色々考えます。」
理真の声のトーンが落ちていく。綾乃にも覚えがある気持ちだった。全く同じではないかもしれないけれど、考えたことがないことではない。
「…年上社会人女のつらいところだよね。時間のある大学生の相手が十分にできているかって私も散々考えたよ。だからめちゃくちゃわかる。実際ね、女子大生みたいにデート、できないしね。回数的な意味で。」
「…そう、ですよね。」
「それに何よりさ、女の武器と言われている『甘える』ってのを発動できない。」
「そうなんです!甘えるってどうしたらいいのか…。」
「ねー…ほんと、甘えるって簡単じゃないよね。」
『甘える』自分を許せるようになるまでに、とてつもなく時間がかかってしまうのだ。
「ごめんね、岡田くんと一緒にいたかったよね。」
「あっ…いえ!あ、いえっていうのも変な話ですけど、綾乃さんに聞きたいこともあって…。」
「あ、やっぱり?何か言いたそうだなって思ってたの、間違ってなかったか~!」
「え?」
「いいよ?何でもきいて?」
理真は一度、胸の前で片手をきゅっと握った。そしてそっと、口を開いた。
「…綾乃さんと咲州さんの関係性はすごくいいなって、見ていて思いました。」
「え、えぇ?岡田くんと理真ちゃんだっていい関係性でしょ?岡田くん、理真ちゃんのこと、大事そうに見つめてたよ?」
「凛玖くんは…すごく、私を大事にしてくれます。…でも、私は返せてるかなって。なかなかデートにも行けないし、デートの日に熱を出したこともあります。…そんな状態で、愛想尽かされないかな…とか、色々考えます。」
理真の声のトーンが落ちていく。綾乃にも覚えがある気持ちだった。全く同じではないかもしれないけれど、考えたことがないことではない。
「…年上社会人女のつらいところだよね。時間のある大学生の相手が十分にできているかって私も散々考えたよ。だからめちゃくちゃわかる。実際ね、女子大生みたいにデート、できないしね。回数的な意味で。」
「…そう、ですよね。」
「それに何よりさ、女の武器と言われている『甘える』ってのを発動できない。」
「そうなんです!甘えるってどうしたらいいのか…。」
「ねー…ほんと、甘えるって簡単じゃないよね。」
『甘える』自分を許せるようになるまでに、とてつもなく時間がかかってしまうのだ。



