俺の彼女が一番可愛い!

* * *

「とーちゃく!運転結局最後までさせちゃってごめんね。」
「いいよ。運転好きだから。」
「代わりに荷物持ちます!」
「それも大丈夫だよ。綾乃ちゃんは写真係!」
「なにその係~!」

「凛玖くん。」
「はい?」
「2人とも素敵な人ね。」
「うん。」
「今日誘ってくれてありがとう。」
「いえいえ。」

 前を歩いていた綾乃が、くるりと振り返った。

「岡田くん、健人と先に行って場所とっててくれない?」
「え?」
「もちろん午後はちゃーんと理真ちゃん、お返しするからさ。理真ちゃん、いいかな?」
「もちろんです!」
「というわけで岡田くん、ちょこっとだけお借りします!」

 綾乃に手を引かれながら、理真は一度凛玖の方を振り返る。凛玖は小さく笑って、唇だけで『行っておいで』と呟く。理真は頷いた。

「…ごめんね、綾乃ちゃんが。」
「いや、綾乃さんのことだから、なんか言いたいことでもあったのかなって。」
「うん。多分、なんかあったんだろうなぁとは思うけど。」
「それより、綾乃さん一緒じゃなくていいのか?」
「うん。」
「即答?」
「午後はちゃんと一緒の時間作ってくれるみたいだし。綾乃ちゃんが理真さんと話しているのが楽しそうだから今はいいかなって。」
「…大人かよ。」
「大人じゃないよ、全然。」

 軽く笑ってそう言える健人が、やけに大人に見える。そんなことを思いながら凛玖は、少しずつ遠ざかる理真を見つめていた。