パタン、と救急箱を棚にしまう音が響く。
それからぼそっとくるめくんが呟いた。
「そっか、よかった」
「え…?」
よかった、って…
何が?
「僕、坂下さんが好きだから」
……………え?
くるめくんが、私を…好き?
私…も、
くるめくんが好きだったはず
なんだ両思いじゃん
私も、って早く言わなきゃ
でも、なんで…
二人っきりなのに
好きって言われてるのに
前みたいにドキドキしないの…?
「ごっ、…ごめんっ!!!」
気づいたら、私は保健室を飛び出していた。
私…
もっと、好きな人が出来ちゃったみたい
くるめくんよりも、もっと
私が作った料理は
好きな人にあげたい
好きであげるんだ
好きだからあげたいんだ
志築くんに…
志築くんが好きだから
「なんでーーー!!?」
私、なんであんな男に恋しちゃったの!?
ひたすら叫びながら、走り続けた。