花束をもって。

「っても、全然変わってないなー」



5年ぶりとは言っても所詮は田舎。景色は昔と全く変わっていなかった。そして実は12際までこっちに住んでいたのだ。何が理由かは分からないが、東京に引越し、そして5年ぶりに戻ってきたというわけだ。だからか見覚えのない場所はないし、昔遊んでいた場所もよく覚えている。・・・ひとつを除いては。



「近所の公園、学校近くの駄菓子屋、山に登る途中の神社、後は・・・黄色の・・・」



ん?黄色?黄色ってなんだ?

小学校の遊具?

違う。

近所で飼ってたインコ?

違う。

もっとこう・・・そこら辺にもあるような・・・



「は・・・・・・な・・・?」



はな?花が何なんだ?

ブーブーブー



「あ・・・」



ピッ



「も、もしもし?」



『あ、奏?もうとっくに運び終わったんだけど、どこまで行ったの?今日ね、おばあちゃんがあんたの好きなお寿司を頼んでくれてるんだって。だから早く帰ってきなー』



もうそんか時間だったのか・・・。



「分かった。思ったより歩いていたみたいだからちょっと遅くなる。・・・うん。うん。分かった。じゃ・・・。」



まぁ忘れていたんだから大したことないんだろう。