机に軽く腰かけ、手を取った咲桜は傍らに立つ。


「……なに、したんですか」


「……すまん、どれのことだ?」
 

その問いかけには、答えが多すぎる自分だ。


咲桜には色々しているから。


咲桜はカッと火が付いたように喋り出した。


「私が流夜くんとこにいたときですよ! 夜中に起きて、流夜くんのご家族の話を聞く以外になにあったの⁉」
 

……未だに気にしていたのか。


いや、気にしていてもらわないと困るんだが。


「そのうちしてやるとか言って、なにあったかすら教えてくれないじゃないですか。流夜くんは不誠実なんですか」


「………」
 

思いっきり眉根を寄せる咲桜。


その言われ方はちょっと嫌だな。


咲桜にそう思われるのもいただけない。


「……わかった。もう一度すればいいのか?」


「……言うでもいいですけど」


「こうしたんだ」