「あ……ごめん……」
 

声もか細く揺れている。


「その……事件のこと、とかは……あんまり考えてなかったかもしれない……」
 

遙音くんのことでいっぱいになっていた。


そう言うように、笑満は顔を歪ませた。


「……じゃあ、これだけ言うね? 犯人のアリバイを崩したのが流夜くん。居場所を見つけたのが降渡さんで、最後に仕留めたのは吹雪さん。なんだって」


「……アリバイ?」


「うん。犯人にはアリバイがあって、一度容疑者から外れた。それを破ったのが流夜くん。その流夜くんに助けを求めたのが、遙音先輩」


「………」


「それだけ知ってれば十分かな? あとは放課後まで待とうか」
 

やっぱり夜々さんに相談を――


「ううん、昼休み、行く」
 

今度の笑満の声は決然としていた。
 

手の震えは止まって見えた。


「あたしから言うの変かもだけど、流夜くんにお礼、言いたい」

 
遙音くんを助けてくれてありがとう、って。
 

そう口が動くのを見て、私はしっかり肯いた。