「うん。そうする」
 

放課後、夜々さんのいる保健室に行こう。


その前に……


「笑満。昼休み、流夜くんのとこ行っていい?」


「ん。行っておいでよ」


「じゃなくて……笑満も一緒に」


「あたし? お邪魔でしかないじゃん?」


「ううん。あのね、遙音先輩のこと、たぶん流夜くんならもっと知ってるから」


「……そうなの?」


「うん」
 

在義父さんの言っていたことが本当なら、訊けば答えてくれると思う。


ふと見遣ると、机に載せた笑満の手が小刻みに震えていた。


「……ごめん、ちょっと急だった?」
 

事件のこと、笑満が総てを知っているわけではない。


父親の印象も『いい人』程度しかない笑満。


事件に関わった一人である流夜くんに話を訊くのは、知らないそこまで知るということ。


……人が殺されているのだ。


しかもそれは知っている人たちで、すきな人の家族だ。
 

震えて当然だ。