朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】



『流夜くん。咲桜は結構鈍いからな。誠実に言葉することを勧めるよ』


「……ありがとうございます」
 

肯くような気配がして、電話の相手が変わった。


『りゅっ、流夜くん! ごめんね、ごめんねっ』


「謝らなくていい。咲桜に非はない」


『でも――』


「いいから。こちらこそ遅くにすまなかった。もうこんな時間には電話しないから、これからは早めに休めよ」


『え――……う、うん……』
 

咲桜の返事は歯切れが悪い。どうした。


「咲桜? なにかあるのか?」


『えっ? そんなんじゃない、けど……』


「言いたいことがあるなら、ちゃんと言いな?」


『……もう、電話くれないんですか?』