……あれ? なにか不安になってきた……。


咲桜は巻き付かれただけ、と言っていたけど……。
 

ふらりと立ち上がる。


「……ちょっと確認してくる」


「なにを?」
 

平坦な吹雪の言葉を背に受けて、部屋を出た。
 

夜中とはいえ人が完全にいなくなる場所ではないので、人気のなく電話を出来る場所を探した。


結果、一階ロビーまで来てしまった。


スマートフォンで、咲桜の番号を呼び出す。


時間は十二時前だ。


在義さんが家にいるのならば、起きて待っていることもない。


まだ起きているかは微妙だ。


『は、はいっ』
 

コール二回で咲桜が出た。


また泡喰った様子が目に浮かんで、微笑ましくなる。


「すまない、遅くに」


『い、いいえ! どうしたの? 電話珍しい』


「あー、いや、さっきの話なんだけど……」


『うん?』


「本当に……危ないことはなかったか?」