「遙音先輩? そんなことはないと思うけど?」
 

なんか流夜くんはいやにそこを気にするな、と感じる。


「遙音先輩と仲良くなるのは笑満の方でしょ」


「……そうなんだろうが……」
 

納得がいかない。そんな苦い顔が見えた。
 

すぐにうちについた。


「ありがとうございました。流夜くんも気を付けて」
 

ベルトを外しながら言うと、返事の代わりのように腕を摑まれた。


「りゅ――?」


「ありがとう。眠れなくなったらまた頼む」
 

艶っぽい微笑とともに言われ、仕返しを喰らった気分になった。
 

自分で言いだしたことが、なんとも恥ずかしいことだったと思い知る。


「……はい」
 

俯き加減で答えても、声はちゃんと届いたらしい。