耳を澄ますと、静かな寝息が聞こえて来た。


マジか。え、いやなんでこんな格好で寝られるの。器用だなー。


「………」
 

しかし更に困った。


吹雪さんのところで徹夜も多いという流夜くんが、せっかく寝たところを起こしてしまうのは気が引ける。


こんなところで寝てしまうほど疲れているのだろうから。


と言ってこのままではちゃんと眠れないだろうし、私もなにも出来ない。


幸いソファの上だから、どうにか転がそう。


そう決めて流夜くんを横にしようとすると、しっかり腕が巻き付いている私も一緒に倒れこむ羽目になった。


「……流夜くん、起きてない?」
 

わざとのような気がして声を尖らせるが、目は閉じたままで息遣いも変わらない。


本気で寝ているようだ。眠りが深い。
 

しかしまあ、一応横には出来たので、あとは私が離れるだけだ。


……だけなのだが、流夜くんの腕が絡みついて離れない。


悪戦苦闘しているうちに、余計に抱き寄せられた。


額がくっつく距離よりも近いかもしれない。
 

なんだこれ! 笑満!