「……うん」


「お願いだから、二人の仲邪魔しようとかしないでほしい。付き合ってるってばらすとか脅しかけたら――あたしはあんたをぶっ潰す。どんな手を使っても」


「………」


「………」
 

笑満ちゃん、怖い。


日義は友達じゃなかったのか。


そして慰めに行ったんじゃないのか。トドメさしてるようにしか見えないよ。


「……そんな気、ないよ……」
 

そう言う声は、涙ぐんでいるように聞こえた。
 

……咲桜と日義は長いこと友達だったと聞く。


笑満ちゃんから聞いた感じ、咲桜の正義感によって続いていたとも言えるけれど、確かに一番近い存在だった。
 

笑満ちゃんは軽く息を吐いた。


「……泣きたかったら、泣いていいよ。咲桜は女の子も惚れるほどカッコいい子だって、あたしも知ってるから」


「……ほんとだ」
 

笑満ちゃんは日義の隣に腰を下ろした。
 

心配する俺に、大丈夫でしょ? と微笑んで見せる笑満ちゃん。


それに俺も、警戒を解いた。


確かに笑満ちゃんと日義は友達だ。
 

日義はうつむいたまま、組んだ手に額を載せた。


「ごめん、明日には普通になるから……今だけ、咲桜をすきでいさせて」








END.

第三話『甦るは深き記憶の傷』に続く。