「……さ、咲桜だってちゃんと神宮のことすきだよな? 笑満ちゃん」
 

日義の最後の方の言葉に不安になって、首だけ振り向かせた。


「咲桜はLGBTじゃないですよ。男前過ぎて女子に憧れられはしますけど。でも頼がそこまで落ち込むとは思わなかったよ」


「んー……なんかこのままいけば、咲桜って俺と付き合ってるような気がしてたんだよなー……惰性で」


「それは咲桜にも自分にも失礼なこと言ってんぞ?」
 

指摘すると、日義は空気でも抜けたようにベンチに腰をおろした。


「俺、咲桜のことすきだったのかな……」


「知らねーよ。あとそれ、憶測でも神宮には言うなよ」
 

あの咲桜バカが聞いたら、日義のことをツブしにかかってきかねない。
 

うなだれている日義を見下ろして、俺は警戒を解かない。


神宮のところに行ったって……あとで無事だったか訪ねに行こうか。


「……ごめん、笑満。今だけ慰めて」