たたき起こされた俺は、床に正座させられていた。


安心の中で完全に眠り込んでいた頭ははっきり覚醒している。


やべえ。一番やばい人を怒らせてしまった。


「流夜くん」


「……はい」
 

言い訳――なんて無意味だ。


黙って説教を喰らうしかないだろう。
 

在義さんは腕を組んで仁王立ちだ。


「確かに私は君と咲桜の婚約も認めている。そのまま恋人になろうと構わない」


「……はい」
 

そこは認めてくれるのか。


だったらなんでこの前逃げたんだ。


……言いたかったけど、今は自分、そんなことを言える立場でない。


「だからってねえ、少しは私のショックを理解してくれ……責める気はないけど、お願いだから少しだけ気遣ってほしい」
 

一人娘を嫁にやるんだから……と、在義さんは今にも泣き出しそうな声だった。