まさかこんな早く逢えない時間に陥ってしまうとは思わなかった。


……俺がそれを見ているのに気付いた咲桜は自分の手を触れさせ、目を閉じた。


「……ありがとう。やっぱり流夜くんはすごいね。……一人にならないようにしてくれるんだから」
 

お守りだと言って、渡した。


立場上、どうしても傍にいられないときもあるから、と。


……こういう意味で引き離されるとは思ってもいなかったけど、結果的に咲桜の助けになったようでよかった。


「咲桜……」
 

呼びかけられると、閉じてしまっていた咲桜の瞼があがる。
 

柔らかな空気が満ちる。


近づく。――もっと近づきたい。
 

俺たちの間に距離はもうない。咲桜も流れる雰囲気に抗わない。
 

触れることを、躊躇う理由がない――


「てめえ神宮! 俺んとこにガキ送り込んだのお前だろう! すっげえ怖いんだけど!」
 

若干剥かれた遙音が飛び込んできた。