「……咲桜が怖がることや嫌なことを、日義はしなかったか?」


「そういう心配はないよ。大丈夫」


「そうか」
 

なら、一安心か。流夜くんが小さく言った。


「咲桜、顔あげて?」


「………」
 

伏せがちだった私の瞼も一緒にあがった。
 

流夜くんの手が、そっと首筋に触れる。


最初に問われたときは過呼吸に陥ってしまったけど、少しずつ大丈夫になってきたみたいだ。
 

桜と月は、私の首元に、つけたときと変わらずある。