すれ違いざまに言われただけでは、学内での認識かとも疑っていた。


教師神宮(おれ)と咲桜が、個人的に仲良くなっていることに気づいた、と。


それが今、決定的なことを言われた。学外での。


「………」
 

思わず咲桜の肩を摑む手に力が入ると、咲桜は勢いよく振り仰いできた。


「頼! 先生は父さんの関係なだけだ! だからお前は――


「関係性なんてどうでもいいんだ咲桜。先生! 早速俺の被写体になってください!」
 

――日義は嬉々としてそんなことを叫んだ。


「……はい?」
 

……被写体?
 

意味がわからず問い返すと同時に、咲桜が頭を抱えた。