降渡から得た情報で総て解決、とはいかなかった。


が、多少ながら状況は得ることが出来た。


「………」
 

旧館へ向かう途中だった。


並んだ樹の影に、人の姿が見えた。


この二日は咲桜が休み時間にやってくることもなくて、物足りない日を過ごしていたからすぐに気づいた。咲桜と日義だ。
 

言い争っているわけではないが、咲桜が何かを言い募っているのがわかる。


ここからだと見えるのは日義の表情の方だった。


日義はいいから咲桜の顔が見たい。


そう思って、少し足を停めた。


途端、日義と目が合った。


特に隠れてもいなかったから、偶然だったのかもしれない。だ


が明らかに、俺に気づいた日義は唇を歪(ゆが)めた。


そして、咲桜に覆いかぶさるように近づいた。


「――!」
 

な――
 

にをしている!


「咲桜!」