困っていると、笑満が一度大きく手を打った。


「はーい、咲桜困らせないの」


「なんだよ。松生知ってんのか?」
 

男子の一人に言われ、笑満は「当り前でしょ」と腰に手をあてた。


「頼が知っててあたしが知らないわけないじゃない。咲桜の彼氏は優しくて包容力のある大人だよ。この大人びた美貌の咲桜とよくお似合いな」


「年上?」


「ちょっとね。だからあんたたちが束になってかかっても全然敵わないよ。わかったらはーい、散る!」


「えー、咲桜の彼氏見てみたいー」


「機会があったらね。向こうはお仕事持ってる人だから、難しいけど」


「そうなの? 本当に大人なんだ」


「んでも、咲桜おめでとー」


「いつか逢わせてよね」
 

口ぐちに言って、みんなばらけていった。


……ノリのいいクラスメイトだった。