今もっとも警戒すべき姿。咲桜と自分の関係を知っているかもしれない存在。
 

日義はいつも通りだるそうな顔で、特に俺を気にした様子もない。


……教師とは気付かれていないのか?
 

足を停めることもなく前へ進む。


「咲桜が隣にいるの、お似合いですよ。神宮先生」
 

すれ違いざまに囁かれた。
 

ともすれば、警戒するあまり自分の脳が作り出した幻聴にも聞こえたが、微かに振り返った時に見えた日義の横顔は、言葉を発したのは自分だと言っていた。
 

咲桜の隣。


ばれている。
 

咲桜の彼氏とは、俺であると。