気は晴れないでいた。
 

昨日の夜、手を握って、咲桜の指が震えているのにたまらずそのまま咲桜を抱き寄せて、しばし腕の中に置くことは出来た。


抵抗はなく、だんだんと体重を預けてくれた。


……それでも、なにを思い悩んでいるのか、最後まで教えてはくれなかった。
 

咲桜の彼氏が自分であることは確実に頼にばれている。


教師とイコールだと気づいているかまでは、まだわからない……。
 

咲桜はそう言っていたけど、後者も知られている可能性が高いのだろう。


咲桜があそこまで人目を警戒して怯えるのは。
 

日義は咲桜の友人だ。


咲桜がゆるせば、付き合っていることや偽婚約のことを話してもいいと思っている。