ありがとう。
 

離れている今だって、やっぱり護ってくれている。
 

――気を取り直して、鞄に入れっぱなしだったスマホを取る。


……あの毒舌が得意な人に少し怒ってもらおう。


誰かの叱咤を必要とするくらい、自分は混乱している。


一発殴ってもらって現実に意識を取り戻すくらいしないと――流夜くんを護ると決めたのは、自分なのだから。


大すきな人だから、自分の手で護りたい。
 

電話をかける。


ああ、そうだ。夜には流夜くんは、吹雪さんのところにいるんだっけ。


もし電話の先に流夜くんがいたなら――……
 

逢いたい。


何を伝えられる段階でもないけど……一瞬でも、その姿を。