頼のことだから、私の隣に立つ流夜くんを見て目をつけたのだろう。


……本当に、もっと気を付けているべきだった。流夜くんをいらない騒動に巻き込んでしまうなんて……。


「………」
 

駄目だ、酸欠になりそう……。
 

頭の中がごちゃごちゃし過ぎて、うまく考えることも出来ない。


流夜くんと逢えないだけで息苦しくなるってバカみたいだと思いながら、でもやっぱり、もう流夜くんから離れることは出来ないのだと心臓が実感する。
 

……鼓動のひとつだって。
 

あの人の傍らを願う。
 

首元に手がのびた。


カチンと、小さくお互いが触れる音を立てる桜と月。


チャームの部分を握りしめていると、呼吸が落ち着いてくる。


胸に渦巻く不安も、薄らいでいくような気さえする。


……まるで精神安定剤のようだ。