『咲桜。彼氏とお似合いだな』
 

ぞくり――と肌が粟立ったのを今でも思い出す。
 

昼休み、流夜くんのいる旧校舎を訪れようとした私の足を停めた言葉。


頼がそんなことを言うなんて――煌(きら)めいた瞳。


あのときと同じだ。まさかと思っていたけど――
 

やばい――流夜くんが狙われる!
 

その言葉を聞いて、直感が確信に変わった。


頼は流夜くんに目をつけている。


過去の私にしたように。
 

……あんな思いを流夜くんにさせるのは嫌だ。


そう想いが募って、結局旧校舎へは行けず、自分の部屋に戻ってからも胸の奥に重いものがたちこめていた。
 

流夜くんには、今日は行けないとメッセージを入れておいた。


少し考える時間がほしい……。


それに、頼だったらどこかに張り込んでいるかもしれない不安があった。