必死な言い募り方に、胸に下がらないものを感じながらも、がんばった。


がんばって、咲桜の意思を肯定することにした。


「……わかった。咲桜が無事ならいい。訊かないから、そんな顔をするな」
 

本当は無理矢理にでも口を割らせたい。


咲桜を憔悴させるほどのことなんて、存在するだけでゆるせない。


しかしそんなことを言ったところでどうにもならない。


「………」
 

咲桜は申し訳なさそうに、また深く俯いた。


「だからそんな顔するなって……。咲桜、触ってもいいか?」


「えっ」


「手、握るだけだから」


「………」
 

今度は咲桜は、恥ずかしそうにうつむいた。


そして、机に隠れていた手を持ち上げた。

 
机の上で繋がれた両手。


「……力になれることがあったら、言えよ」


「……うん…………」