俺の耳に心地いい声が響く。


『流夜くん、あの、どこにいる? 家?』


「いや――今は吹雪んとこ。学校から直接来た」


『そっか……あの、今日は行けなくてごめんなさい。……少し、時間作ってもらってもいい?』


「あ、ああ。咲桜の家に行けばいいか?」


『ううん、うちはちょっと危ないから、龍生さんのところで話したいんだ。時間は……三十分後でもいい?』


「あ? ああ、わかった。迎えに行かなくても平気か?」


『そこまでは大丈夫。ありがとう。吹雪さんに取り次いでくれてありがとうって伝えておいて』


「わかった。……気を付けて来いよ」


『うん』


「………」


『………』


「………咲桜」


『うん。……今日、行けなくてごめん』


「いや、むしろ今まで毎日来てくれたありがたみがわかった。……無理させていたら、すまなかった」