「流夜の場合、ちゃんとした恋愛は咲桜ちゃんが初めてだから、まあその辺り咲桜ちゃんと一緒に学んでいけばいいんじゃない? 流夜は中学生レベルの恋愛から始めた方がいいよ」


「………」
 

俺はそこまで非道いのか。


実際、非道い自覚もあるけど、咲桜が高校生なのに俺は中学生レベルなのか?
 

咲桜に逢えないためか覇気もなくのろのろと資料を繰(く)っていると、吹雪のスマホが着信を告げた。


すぐに応答した吹雪。話しながらこちらへ歩いてくる。


「? 吹雪?」


「流夜へだよ。お嬢様から」
 

ひったくった。


「もしもっ、咲桜か?」
 

勢い込み過ぎて噛んだ。


吹雪は腹を抱えて笑っているけど、気にしている余裕もない。