見咎められる、あるいは一緒に来ると言い出すかと思ったが、私が話したい様子を察した笑満の誘導でうまく教室を抜けられた。


「ごめんね、笑満……」


「いいから。……夜々さんとこ行く? あそこなら少し落ち着くでしょ」
 

顔色悪いよ。


気遣われて、自分の頬に手をやった。


たった少しの時間なのに憔悴(しょうすい)しているのか。
 

我ながら情けない……。
 

頼は大事な友達だ。けれど、厄介な幼馴染でもある。
 

捨て置けるような存在ではないけれど、たやすい相手でもない。
 

……私の中の弱さと強さが混在する、ただならぬ友人だった。