「……今度はなんだ」 「昨日めっちゃ楽しかったんだよねー」 「だったら浮かれてろよ。なんで壁際で落ち込むんだ」 また遙音は壁際で小さくなっていた。俺はため息をつく。なんだと言うんだ。 「……笑満ちゃんって咲桜のこと大すきだよなー」 「……やらねーぞ」 「わかってるよ。やきも神宮」 「あ?」 「お前はいいよな。昨日は咲桜とデートだったんだろ?」 「……なんで知ってる」 昨日、こいつが背後にいる気配はなかったはずだ。