朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】



……そんなものは存在しないものだと、笑満ならばわかっているはずだ。


苦しみの只中に立たされたことのある笑満なら。


そして、その只中から手を引かれた笑満ならば。


「わかってるのに、そういうの、ないものだったんだって、わかってるんだけど。やっぱり、なんかまだ後悔しちゃって……。……だから、少し整理つくまではこのまま、今の遙音くんの助けになれたらいいなって思ってる」


「……そっか」
 

助けになれたら。


笑満らしい言葉だ。


転校生として逢ってから、笑満は常に私の助けだった。


「咲桜は? もう、首は大丈夫なの?」
 

今日も普通のブラウスだけなのを見て、笑満は私の顔を覗き込むように首を傾げた。