呟きのような密やかなそれは、後悔の響きとは違った。
 

五月の空。


幼い頃の笑満と先輩は、同じ空の下にいたのだろうか。今は? 


記憶ではなく時間も戻らない今に生きる、二人は?
 

並んでいる? 近くに、いる?


「……しばらくはね、告白はしないでおくつもり」
 

笑満は鞄を後ろ手に持ちかえた。


「しないの?」
 

すごく仲がいいのは傍から見てもわかるのに。


笑満の特攻精神をわかりきっている私には意外な言葉だった。


「うん。……少し、友達として時間を取り戻したいの。ずっと一緒にいられたかもしれない時間が、やっぱり淋しいから……」
 

一緒にいられたかもしれない、過去の時間。


友達として、幼馴染として。