「おい、お前ここにいんのばれてんぞ」


「……!」
 

カウンター席に座る在義の肩が大きく跳ねた。


俺はカウンターに寄りかかりため息を吐く。


「あいつにばれねえわけねえだろ。俺が育てたんだからよ。……帳場はウソ、流夜と娘(じょう)ちゃんから逃げたって、まあわかってんだろうな」


「………」
 

在義は手を組んで拳に額を押し当てた。


「だってな、龍生……咲桜が彼氏連れてくるとかもっと後のことだと思っていたのに……」


「てめーから偽婚約了承しといてなに言ってんだよ。それに、流夜だったらいんだろ?」


「いいから悪いんだよ」


「どっちだ」


「流夜くんがいい子だから反対出来ないんだよ。なんこう、もう社会不適合レベルだったら猛反対出来たのに!」


「娘ちゃんがそんなヤツ連れてくる方が難しいけどな」