顎に手を滑らせると、半ば強制的に咲桜の瞳が俺を見た。


……だから可愛いんだって。
 

咲桜に抵抗の様子がないのを見て、羽にでも触れるように、そっとその唇に触れた。
 

……一番、愛情をあげたい子。
 

どうしてか、咲桜にしか抱かなかった感情がある。
 

可愛い。どうすれば伝えきるのか。


言っても尽きないのはわかっているので、抱き寄せる腕にもこめてみる。


すると抵抗があった。


「あの……ちょっと苦しい……」


「あ、すまん」
 

少し力を弱めると、咲桜が腕の中で身じろいで顔を上向けた。


少し困ったような顔を、華みたいに微笑ませた。


「……やっぱり、すき」


「………」
 

……時々爆弾を落としてくるからたまらない。