助手席についてシートベルトをしめたのを見て、降渡がバックミラーの位置も確認する。


「かな。……流夜、すきな子にはとことん骨抜きなんだね。あれって僕ら、安心していいのか警戒するべきかわかんないよ」
 

降渡が人通りに注意しながら車を発進させる。


このあと僕を署まで送り届けたら、降渡は別の仕事に入ることになっている。


「安心しときゃいんじゃね? よかったじゃん。あいつもちゃんと恋情愛情持ってて」


「その辺りはいいんだけどさ。咲桜ちゃん、一応生徒だし」


「そんくらい、転勤なりなんなりしてかわすだろ。それよかふゆ――顔色悪ぃぞ。今日は休みだろ? 家に帰るか?」


「ん――大丈夫、いつものだから。署に居る方が色々出来るし」