流夜くんは斜め上を見てぶつくさ言う。
「教師に顔馴染みがいる所為でなあ。去年教職に就いたって知られたら、なんでこっちに来なかったって、そいつのクラスメイトに総出で怒られた」
「お、怒られた? お友達なの?」
「俺らが中学んときからの知り合いでな。友達というかどうかは……一応、向こうのが年上ではあるけど」
「桜学かー……。もしも教師を続けるにしても、遠くなっちゃうんだね」
「いや、これ以上は教師と本業の両立も面倒になるし、続けないな。ここを離れもしないよ」
「………」
「咲桜がいるしな」
ここには、と小さな声で流夜くんは言った。
それを聞いて、そろりと見上げる。
流夜くんは仕切り直しとばかりに、また斜め上を見た。



