……明らかに流夜くんは人目を引いていた。
 

わざとらしく流夜くんの前を行ったり来たりする女性までいる。


うわ……こういう人ってほんとにいるんだ……。


流夜くんにしろ、見ている女性たちにしろ。
 

どうしよう……早く傍に行きたいのに、滅茶苦茶怖い。


対女子ということに経験のない私の足は萎縮していた。


野郎だったらぶっ飛ばしで問題ないんだけど、女子を敵に廻すことには抵抗がある。


殴りたくないしなー。


「咲桜」
 

悩んでいる間に、流夜くんの方が気付いて声をかけてきた。
 

メガネのない顔。遮るものひとつだけでキラキラして見えるから謎だ。


「咲桜? どうした」