いつまで経っても咲桜からしてほしいことの答えがないので、右手を絡め取った。
手の甲を上にして、口づけを落とすと、びくりと派手に驚かれた。
「……お前ほんと慣れねーな」
「りゅ、流夜くんが勝手に色々するからじゃん! 私の頭が追いつかない!」
「そうか? 咲桜は少しくらい引っ張った方がいいのかなって」
「う……」
咲桜は恋ごとには疎いようだから言ってみると、言葉に詰まってからしおれた。
それからぎゅんっと見上げて来た。
「じゃ、じゃあなに? 流夜くんはどれだけの彼女がいたのっ」
いきなりの――ヤケッパチのようなその問いかけに、少し面喰った。
咲桜もそういうこと気にするのか……。
気にしなくていいのに。
けれど、この前の『不誠実なんですか』発言はダメージだった。
頑張って思い出してみた。
頑張った。
………。



