朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】



いつまで経っても咲桜からしてほしいことの答えがないので、右手を絡め取った。


手の甲を上にして、口づけを落とすと、びくりと派手に驚かれた。


「……お前ほんと慣れねーな」


「りゅ、流夜くんが勝手に色々するからじゃん! 私の頭が追いつかない!」


「そうか? 咲桜は少しくらい引っ張った方がいいのかなって」


「う……」
 

咲桜は恋ごとには疎いようだから言ってみると、言葉に詰まってからしおれた。


それからぎゅんっと見上げて来た。


「じゃ、じゃあなに? 流夜くんはどれだけの彼女がいたのっ」
 

いきなりの――ヤケッパチのようなその問いかけに、少し面喰った。


咲桜もそういうこと気にするのか……。


気にしなくていいのに。


けれど、この前の『不誠実なんですか』発言はダメージだった。


頑張って思い出してみた。
 

頑張った。
 

………。