朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】



「くっ……」


「……なんで敵みたいな見られ方される」
 

昨日彼女になったばかりの子にそんな瞳で見られたくない。


けれど、その瞳に映るだけでも嬉しいと思う。


……本音は好意の瞳で見られたい。


「悪かった。咲桜がしてほしいことはないか?」
 

あまり怒らせてばかりでも嫌なので、訊いてみた。


知りたいことがあったら直接訊くしかない、とは、咲桜で学んだ。


「………」
 

しばらく恨みがましい瞳で見られた。


可愛い……そう思って頬に手を伸ばしかけ、引っ込めた。


今は咲桜の答えを待っている段階だった。自分の右手を左手で抑える。


「……なにやってんの?」
 

不審な瞳で見られた。


「気にするな。それで……これくらいならいいか?」