朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】



つと、今度は指が咲桜の唇の端に触れる。


「いいえっ! とんでもない!」
 

咲桜はぶんぶん首を横に振る。


「もう慣れてくれていいのに」


「無理だよ⁉ 簡単に言うけどこの距離だってまだドクドクしてるんだから!」
 

……だからなんでドクドクしてんだよ。


ドキドキしてほしいんだけどな。


「……まあ、咲桜からしたくなったらしてくれればいい」


「要求レベル高すぎるよ!」
 

今度は怒らせた。


「なんでそう平然と出来るの! 私をなめんな!」


「そうしたいと思うからだが……」
 

平然としているつもりもない。


実はこっちだって結構心臓に負担かかっている。


トシの分だけ、隠すのに慣れているだけだ。