「うん。……あ、それでね、少し服を変えたいって思ってる。首が詰まってるのばっかりだったから。今度笑満と行ってくる」
「ふーん」
すっと、宙に留まっていた俺の指が肩に流れる咲桜の髪を絡め取った。
咲桜はびっくりしたようだが、恐怖しているようには見えない。
むしろ照れている。
「……大丈夫なんだな」
確かめるように髪に触れた指先は、すぐに離した。
なんだか色々と危ない気がする。
「あー、この前困らせたよね。ごめんね」
俺の前でパニックを起こしたときのことだ。
咲桜に謝られると、こちらの方が申し訳ない気分になる。
「心配はしたけど困ってはない」
「……ありがとう」
咲桜は微苦笑を浮かべた。
本当に、どれだけ頑張っているのだろう、この子は。
そしてなんだか、松生に妬けてしまうのだけど。
「俺とは行ってくれないのか?」



