朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】



「……ごめんな、先に言ってしまって」


「恨むよ」


「……悪かった」


「ばーかばーか」


「……吹雪が見えるからやめてくれ、それ」
 

咲桜と吹雪にそう接点はないはずだが、重なって見えるのが嫌だ。


咲桜は、困ったように笑った。


「……いいですよ。言い出すの、少し恥ずかしかったし」


「そうか」
 

ふと、空いている左手が咲桜の顔の方へ伸びた。


「……大丈夫なのか?」


「なにが?」


「いや……今日は首を覆っていないから」