「悪かったって。だってお前に彼女とか奇跡じゃん。だからさ、咲桜と逢いやすいようにしてやるから邪険にするなよ」
「……お前らが話さなければ今のところ心配はないんだが」
「あっ、あたし絶対誰にも言わない。頼にも言わないから、安心してね、咲桜」
「……ありがとう」
「俺も言わねーよ。今神宮に教師辞められたら俺、わざわざここに入った意味なくなるし。雲居と春芽には俺から報告しておくから、心配するならあっちだろ」
「心配する要素を増やしておきながら言うな」
遙音は「あはは」とまた軽く笑った。
なんでお前から報告されてんだよ。
松生が少し意外そうな顔をして見上げた。
「遙音くん、先生がいるからここに入ったの?」
「ん? そうだよ。雲居か春芽が教師になっててもそうしたかなー。あいつらが教師になるわけねーんだけど」
どっちだ。
咲桜も意外だったようで、こちらを見てきた。
まあそれが、俺が教師やってる理由なんだが。



