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「……次の授業に間に合うのか?」


「大丈夫ですっ。走るんで」
 

本当に休み時間ごとに来るので、一応昼休みに訊いてみた。


松生は緊張した顔だが、咲桜は俺がよく知る顔をしていた。


探るものがあるときの顔。


警察や探偵の中に何度も見てきた顔。
 

本当に在義さんの娘だよな……。
 

そう思ってしまうくらい、よく知る異端の刑事に似ていた。
 

血を引いていなくても、咲桜は在義さんの娘だ。
 

カタ、と小さな音がした。


隣の教室に、この足音から遙音がいると知る。


休み時間にやってきて、俺をからかって帰っていくところは完全に降渡からうつったものだ。