「りゅうと咲桜ちゃんってどうなってんの?」
 

いつも集まるのは龍さんの店、《白(シロ)》だ。


珍しく吹雪と二人で俺の部屋に来た降渡が来たと思ったら、そんなことを言った。


そして勝手に茶の用意をする幼馴染(ヤツ)。
 

どうもなにも、


「順調に偽婚約だが?」
 

仕事あがりの俺は、眼鏡をはずしてローテブルに放る。


学校でかけている眼鏡は顔を隠すための伊達なので、家にいるときは必要ない。


まだ、教職を辞めるわけにはいかないからな。
 

勝手にテーブルについて、俺の向かいにいる吹雪は愉快そうに話を聞いている。


隣の降渡は「いや」と手を振った。


「そっちじゃなくて。お前らの偽婚約解くためには咲桜ちゃんに彼氏が必要なんだろ? 出来そう?」
 

………ああ。


「……まだ無理みたいだ」